研究課題/領域番号 |
09671599
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
八竹 直 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60028579)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | シュウ酸代謝酵素 / エチレングリコール / 性ホルモン / 尿路結石症 / エストラジオール / テストステロン / エチレングルコール / ラット / エストロゲン / シュウ酸カルシウム |
研究概要 |
雄ラットではE-Gとグリコール酸の負荷により、容量依存性に尿中シュウ酸濃度は増加したが、雌ではあまり変化しなかった。グリシンについては雄・雌とも尿中シュウ酸は増加せず、生理的な条件ではシュウ酸の供給源としての関与は小さいと思われた。E-G負荷時に見られた尿中シュウ酸の性差が消失せずグリコール酸でも同様に認められたことから、この性差はグリコール酸からシュウ酸までの代謝の違いに起因することが示唆された。この経路の責任酵素はGOあるいはLDHであり、GO活性は主にテストステロンにより促進されていた。しかし、SPT活性についてはGOと異なり性ホルモン投与の影響は受けなかった。GO活性がテストステロンにより促進される機序については、肝のペルオキシゾームがテストステロンにより増加し、エストロゲンにより減少したという報告があり、このことが関与しているのかもしれない。シュウ酸排泄量は水道水摂取の条件では雄、雌ともいずれの群間にも差は見られず、これら酵素活性との相関は認められなかった。しかし、E-G負荷状態では雄ではコントロールに比べ約4倍尿中シュウ酸排泄量が増加するのに対し、雌では軽度であった。すなわち、生理的な状態では、GO活性と尿中シュウ酸量に相関はなく、基質としてのシュウ酸前駆物質の供給が過剰な時のみ、尿中シュウ酸量との相関を認めた。このことは雌ラットがE-Gの毒性に抵抗性で結石誘発が困難である理由の一つと思われた。尿路結石形成の機序は未だ明かではないが、今回の検討から性ホルモンがシュウ酸代謝に密接に関与していることが明かとなり、ホルモン環境の変化が尿路結石症の発生頻度に性差を生じる根拠になりうると思われた。このことは近年、注目されている閉経後女性のホルモン補充療法が尿路結石症の罹患率の低下、再発予防につながる可能性を示唆するものと思われた。
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