研究課題/領域番号 |
09671606
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水谷 隆 (1998) 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50199999)
後藤 智隆 (1997) 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70282655)
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研究分担者 |
保坂 義雄 東京大学, 医学部・附属病院(分), 助教授 (70133080)
北村 唯一 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (70010551)
永冨 裕 東京大学, 医学部附属病院, 助手
松島 常 東京大学, 医学部附属病院(分), 助手 (60157310)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 前立腺癌 / 分化誘導 / パパベリン / LNCaP / サイクリックAMP / 分化誘導療法 / プロスタグランジンE_2 / 神経内分泌細胞 |
研究概要 |
ヒト前立腺癌細胞株LNCaP、PC-3、DU145をphosphodiesterase阻害剤であるPapaverine、IBMX、Theophyllineの3剤で処理した結果、LNCaP細胞のみが特徴的な形態変化を示し、それはPapaverine(10^<-5>M、Day6)により最も高率に認められた。また形態変化した細胞は胞体が小さくなり、細長い突起が伸び、近傍の細胞同士が連結するようになった。その電微像は、突起の部位に微小神経管構造を認め、また細胞質に電子密度の高い顆粒を認め、神経内分泌細胞への分化誘導を示唆する所見であった。また、PapaverineによるLNCaP細胞の形態変化の割合は、細胞内cAMP濃度の上昇に関連していることが確認された。さらにPapaverineによりLNCaP細胞でcytostaticな増殖抑制、G1 arrestが認められた。LNCaP細胞の性状の変化についての解析では、神経系のマーカーとされているNSE、AchEの発現を免疫染色、ウエスタンブロットで解析した結果、NSEの発現の変化は認められなかったが、AchEの発現の増大が認められた。腫瘍マーカーであるPSAや癌遺伝子であるc-mycの発現の低下が認めらた。浸潤能の著名な低下も認めらたが、それは細胞増殖抑制に伴う変化ではないことから、分化誘導による効果と思われた。ヒト前立腺癌細胞株LNCaPは、Papaverineにより、高率に神経内分泌細胞様の形態変化を示し、増殖能の低下、G1 arrestに加え、腫瘍マーカーや癌遺伝子の発現減少、浸潤能の低下を示した事から、悪性化形質が低下したと考えられた。これは癌の終末的な分化形態の一つである可能性があり、こうした変化を積極的に誘導することが制癌につながるのではないかと思われた。
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