研究概要 |
閉塞膀胱における膀胱機能変化に対して虚血がどのように影響するかを観察した。ラットをコントロール、部分閉塞、部分閉塞+虚血の3グループに分類した。尿道の部分閉塞は尿道と1.7mmのカテーテルを同時に結紮し、カテーテルのみを取り除くことで作成した。一方虚血は両側の内腸骨動脈を結紮切断して作成した。各種手術後7日めに実験浴槽内に各群の筋切片を懸垂して膀胱機能を評価した。 膀胱重量は部分閉塞のみでも部分閉塞+虚血でも有意に増大した。部分閉塞+虚血群の方が重量増大程度がより大きかった。筋切片の張力長さ関係を受動的、能動的の二種類観察したところ、部分閉塞+虚血群では組織の弾力性が低下し、同時にカリウムに対する最大収縮力がより短い組織長において観察された。コントロールと部分閉塞群では張力長さ関係に有意差は認められなかった。次に電気刺激、ベサネコール、ATP,KClなどの各種刺激に対して各群から摘出した筋切片を使用して比較検討したところ、部分閉塞群においては、これらの刺激に対する反応性が亢進していた。逆に部分閉塞+虚血群では反応性が低下した。以上の所見から尿道の部分閉塞のみではその閉塞に伴う尿道抵抗の増大に代償しようと膀胱の収縮力は増大する。しかし、この代償性の機能亢進には十分な血流が不可欠で虚血が発生すると、膀胱の弾力性がなくなると同時に収縮力も減退することが判明した。
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