研究課題/領域番号 |
09671663
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
荒木 慶彦 山形大学, 医学部, 助教授 (70250933)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 卵管 / 糖蛋白質 / プロモーター領域 / マウス / ERE / プロモーター |
研究概要 |
受精の分子機構の解明は、種の存続という生物学上での大きな問題に直接関与し、また最近増加している不妊症患者の病態解明・治療に大きく貢献する知見をもたらす可能性を持っている。近年、ヒトを含めた種々の哺乳動物で卵管に特異的に発現し、配偶子を修飾する活性を持つ糖蛋白質(卵管特異糖蛋白質:OGP)の存在が報告されているが、通常の生物科学的手法のみでは取り扱いが難しく、その生殖生理学的な真の活性は、未だ多くの点が不明である。我々は生殖生物学上優れた実験動物であるゴールデンハムスターのOGPを発見し、この物質の生化学的性状・生殖生物学的性状を明らかにしてきたが、近年この分子及びマウスにおけるホモログのcDNAのクローニングに成功し、その遺伝子発現における性ホルモンの影響を解析してきた。本研究では、同遺伝子の生体内での発現制御機構をより詳細に検討するために、マウスOGP(mOGP)の遺伝子クローニングを試み、プロモーターを含むOGP5^1ー上流未知領域の構造・機能を解析し、以下の結果を得た:1)mOGP遺伝子を含む13.4kbのDNA断片の全塩基配列を決定し、mOGP遺伝子は11のエキソンからなることを明らかにした。2)mOGP遺伝子は他のキチナーゼファミリー遺伝子と極めて保存されたエキソン/イントロン構造を持っていた。3)mOGPの転写開始部位はATGスタートコドンよりそれぞれ18、14塩基上流に2箇所存在した。4)mOGP遺伝子はマウス第3染色体上に位置していた。5)mOGP遺伝子はTATA、CAAT、GCボックスをそのプロモーターと推定される領域に含まないタイプの遺伝子であった。6)同領域にはさまざまな転写制御因子結合のモチーフ配列を含み、とくに10箇所のhalf-palindromic estrogen responsive elements(ERE)と一箇所の不完全EREが同定された。7)レポーター遺伝子を用いた解析より、転写開始部位より270bp上流までの領域にエストロゲン依存性のプロモーター活性があることが判明した。これら研究結果はOGPの生体内での機能を多面的に解析するために重要な遺伝子相同組み換えによる同遺伝子欠損マウスの作製のための重要な基礎データであり、我々の研究ゴールである同分子の生殖生理学的活性の解明に向けて大きく貢献する研究成果である。
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