研究課題/領域番号 |
09671666
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢野 哲 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (90251264)
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研究分担者 |
百枝 幹雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50221627)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / 卵胞発育 / 卵胞閉鎖 / アポトーシス / 顆粒膜細胞 / 卵巣 / 一酸化窒素(NO) / 一酸化窒素合成酵素(NOS) |
研究概要 |
卵胞発育促進因子としてpregnant mare serum gonadotropin(PMSG)、閉鎖誘導因子としてgonadotropin-releasing hormone agonist(GnRHa)を幼若雌ラットに投与し、卵胞発育過程における卵巣のiNOS遺伝子発現について調べた。iNOSの発現レベルは非投与の未熟な卵巣に最も高く、PMSG、GnRHa投与により一過性に低下した後、48時間後に回復した。また、卵巣切片を作成し、iNOSの局在を免疫組織化学およびin situ hybridization法により蛋白およびmRNAレベルで解析した。iNOSは、未熟な健常卵胞(初期二次卵胞までの小卵胞)の顆粒膜細胞にのみ発現が認められ、それ以上に成熟した卵胞や閉鎖卵胞には存在しなかった。卵や莢膜細胞にはiNOSの発現は認められなかった。さらに、顆粒膜細胞培養系において、炎症性のサイトカインで卵巣にも存在するTNF-α、IL-1β、IFN-γの添加によりiNOSの遺伝子発現が誘導されることをNorthern blot法にて確認した。2種類以上のサイトカインの同時添加により、iNOSの発現は相乗的に増加した。また、iNOS mRNAの発現量は、GnRHaまたは卵胞発育促進因子であるEGFの添加により用量および時間依存的に低下した。次に、顆粒膜細胞のアポトーシスおよびDNA合成に対するNOの作用について検討した。卵巣の連続切片を用い、各卵胞においてTUNEL法によるアポトーシスの有無とiNOS発現の有無との相関を調べた。未熟卵胞のうちTUNEL陰性の健常なものは顆粒膜細胞にiNOSの発現が認められたが、一方、如何なる発達段階の卵胞であろうともTUNEL陽性のものにはiNOSの発現が認められなかった。一方、培養顆粒膜細胞において自然に生じるアポトーシスおよびGnRHa添加により促進されるアポトーシスは、NO供与剤であるSNAPの添加により抑制された。また、EGF添加により促進される顆粒膜細胞のDNA合成も、SNAPの添加により抑制された。以上の結果より、iNOSは未熟な健常卵胞の顆粒膜細胞に発現しており、その発現が卵胞発育促進または閉鎖誘導因子により一過性に低下すること、さらに顆粒膜細胞の増殖およびアポトーシスがNO供与剤により抑制されることから、顆粒膜細胞のiNOSにより合成されるNOは未熟卵胞において安定化因子として機能しており、NO産生の一過性の低下が卵胞発育・閉鎖(卵胞の選択的発育)を誘導していることが示唆された。
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