研究課題/領域番号 |
09671722
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
霞 弘之 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (00289068)
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研究分担者 |
小森 慎二 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60195865)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | アンドロゲンレセプター / グルタミンリピート / 乏精子症 / 無精子症 |
研究概要 |
男性不妊症の原因としてoligozoospermia及びazoospermiaは比較的高頻度にみられるものである。その原因のひとつとしてandrogen及びそのreceptorの異常が関与していることが、従来より知られていた。このandrogen異常という病因の中でandrogen insensitivity syndrome(AIS)は男性不妊症から精巣性女性化症まで広範囲の病態を引き起こすことが知られている。androgen receptor(AR)遺伝子の単離以来、この疾患における遺伝子の点突然変異を含む異常も多数報告されて来た。この中で、我々はAIS患者においてARのexon Aのglutamine repeatが逆に正常人よりも少なく、そのことによりin vitroの発現系でARの細胞での発現が低下していることを明らかにした。さらに、ARのexon Aのglutamine repeatが正常より多くなった場合にKennedy症候群を引き起こすことも明らかになっている。このKennedy痘候群には同様にAISによる男性不妊症を来す症例が多数あることも判明している。 本研究では、oligozoospermia及びazoospermiaを示す男性不妊症の59名の患者とすでに児のある正常の男性36名のAR遺伝子の特にexon Aに着目し、glutamine repeatの数を検索し、乏精子症の患者においてそのglutamine repeat(CAGリピート)が16未満と少ない症例が正常男性に比べて有意に多いことを明らかにした。また、glutamine repeat数が13の症例にてCHO細胞にAR遺伝子を導入した発現系の実験にて正常のARに比べて標的遺伝子への転写活性を低下させることを明らかにした。現在さらにgulutamine repeat(CAGリピート)の減少の程度(glutamine repeatが14、15、16等)でどのように転写活性が影響を受けるかなどの検討を進めている。さらに、その影響をうけた転写活性がandrogenの大量投与にて回復できるのかなどを検討している。 本研究でえられたARのglutamine repeat(CAGリピート)の減少が造精機能に関与していること示唆する結果を基に、今後、androgenおよびAR遺伝子の造精機構への関与を詳細に解明するための端緒になるものと考えられる。そのことからも、本研究で得られた知見は、男性不妊症の機構の解明およびその治療法の開発に重要な手掛かりを与えるものと期待される。
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