研究概要 |
鼻粘膜のγδT細胞が抗原特異的に増殖するかどうかを明らかにするために、鼻粘膜より分離したγδT細胞を回収し、関連のあるサイトカインの存在下にクローニングを行い、γδT細胞の表現型の調べた。クローニングされた鼻粘膜のCD4+,CD4-8-γδT細胞が抗原特異的に増殖することもサイミジンの取り込み試験で確認した。通年性鼻アレルギー患者の鼻粘膜からクローニングされたγδT細胞がVγ1/Vδ1を発現し、IL-4,IL-13を産生していた。一方、通年性鼻アレルギー患者の末梢血からクローニングされたγδT細胞がVγ2/Vδ2を発現し、IFN-γを産生していた。 アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜肥満細胞が主にIL-4,IL-5,IL-13を発現していた。一方、慢性感染性鼻炎患者の鼻粘膜肥満細胞は主にIL-8、TNF-αを発現していた。さらに、通年性アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜より肥満細胞を分離しDerfII抗原の刺激で肥満細胞がIL-4,IL-5,IL-6,IL-13を産生することを明らかになった。また通年性鼻アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜肥満細胞は慢性感染性鼻炎患者の鼻粘膜肥満細胞と比較して、Fc ε RIの発現が増加していること、結合しているIgEの量が多いこと、IgEを介したヒスタミンとIL-6の遊離が多いことが解った。さらにIL-4と同様にIgE自身も肥満細胞のIgEレセプターの発現を増強することを明らかにした。ステロイドがin vitroで肥満細胞のIL-4,とIL-13産生を抑制した。これからのことから、肥満細胞はIgE-Fc ε RIを介したポジティブフィードバックメカニズムによってアレルギー性炎症の遷延化に重要な役割を担っており、ステロイドの療法によって肥満細胞のサイトカイン産生を抑制することも明らかになった。
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