研究概要 |
本研究で得ちれた知見は以下の如くであった。 1) 聴性中間反応(MLR)の電流密度(SCD)波形のトポグラフィー NaとPaの平均電位勾配地図のパターンの違いから,Paの発生源はNaより表層部に位置する別々の起源であると推定した。またPaは両側のほぼ同じ大きさをもつ電流双極子と刺激反対側の前頭部に存在する小さな電流双極子によって構成さていることを示し,Paには複数の発生源が関与していると推察された。 2) 聴性頭頂部緩反応(SVR)の電流密度(SCD)波形のトポグラフィー N1とP2の発生源は,両側の側頭部に存在すると考えられたが、SCDマップの空間的なパターンと時間経過の違いから,両者の起源は同一ではないと推測された。 3) SVRの表在成分(HSFC)と深部成分(LFFC) HSFC波形のN1とP2の振幅は,頭頂部,後頭部の部位で電位波形の比較して小さくなっていた。しかし両側頭の部位でHSFCの波形の振幅と電位波形の振幅との差は観察されなかった。SFFCの波形はHSFCの波形に比較して潜時が延長していた。HSFCの地図は,N1のsource領域が両側の側頭部で出現し,潜時70msec付近では刺激反対側のsource領域が優位であった。P2は頭頂中心部にsource領域が存在し,両側の側頭部にsink領域が限局して観察された。LSFCの地図ではN1は,後頭部および側頭部に陽性の高電位が観察され,頭頂部に陰性の高電位が観察された。一方P2のトポグラフィーはHSFCの地図のそれと比較してあまり差は認められなかった。これらからN1は後頭部に向かう深部からの成分の寄与を含めた両側の側頭部からの成分が合成されていることと,P2の双極子は時間的に両側の側頭部に解剖学的に一定した位置に存在し,同じ方向をもっていることが示唆された。
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