研究分担者 |
樋口 倫子 (庄司 倫子) 北里大学, 医療衛生学部, 助手 (70276179)
荒幡 篤 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (70286376)
向野 和雄 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (60050473)
鵜飼 一彦 日本福祉大学, 情報社会科学部, 教授 (20129232)
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研究概要 |
1.視覚皮質,外側膝状体,視床枕からの入力が収束するネコ外側シルビウス上領(LS領)から上丘に至る直接経路及び線条体を介する間接経路での視覚受容野特性を比較した.その結果,両者は受容野の大きさ,方向選択性,至適視標速度等で異なる特性を有し,また両者とも17野からの入力には依存していないことが判明した. 2.視神経に含まれる遠心性線維のヒト網膜レベルでの機能についてパターン反転刺激で誘発される脳電位(VECP)と網膜電図(PERG)の同時記録法を用いて検討した. (1).異種感覚である聴覚刺激に選択的注意を向けた場合,聴覚注意度の高い被検者では,潜時には変化は見られなかったが,PERGで20〜30%の振幅低下がみられた.特に閾値近傍の低音圧刺激時に著明であった.しかしながら被検者によっては逆に振幅の増大する場合もみられ,視覚において聴覚が抑制のみならず,促進的にも働くことが示唆された. (2).Tonic interocular suppression(持続性両眼間抑制)は一眼の杆体順応レベルが他眼の錐体機能に持続性に影響を及ぼす現象である.今回,一眼の明・暗順応に伴い他眼のPERG振幅に一過性の増大・減少が確認され,網膜レベルでも両眼の順応の調節が営まれている可能性が示唆された.しかしVECP振幅の増減とは時間的推移に差がみられ,更に健常者の優位眼(利き目)と非優位眼順応では反応に違いがみられた. (1)(2)より,網膜神経節細胞の電位を反映するPERGでも変調がみられたことから,網膜レベルでも注意やある種の抑制,順応の調節時に遠心性線維を介して中枢からの影響を受けていることが示唆された.
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