研究概要 |
研究成果の概要 1.ドナーとして体重200gのBN(RT1^n)ラット,レシピエントとして体重300gのLewis(RT^1)ラットを用いた.BN-Lewisの組み合わせはMHC incompatibleである. 2.小腸移植の方法 : ドナー小腸は開腹後,大動脈より灌流し回腸を大動脈カフと門脈を付けて摘出.レシピエントの小腸は温存した異所性小腸移植のモデルを検討した.レシピエントは開腹後に腎摘出し,腎動脈と腎静脈にグラフと大動脈と門脈を再建した.腸管はグラフと回腸を両側ストーマとした. 3.コントロール群(同系移植)、無処置同種群、FK506投与群、抗TNF-α抗体投与群を作成して検討した.移植移植後グラフト小腸を摘出し,各群のCD8/p38k蛍光免疫染色、apoptosis cell、p38免疫染色、p38-western blottingの結果を比較した. (結果) 1.無処置同種群では、同系移植群、FK506投与群(0.5mg/kg,14days)と比較して有意にCD8a/p38陽性細胞は増加していた. 2.抗TNF-α抗体(1mg/kg)投与群は無処置群の組織所見と比較し,拒絶反応スコアは低下していた. 3.アポトーシス細胞は同系植群では検出されなかった.一方,無処置群のアポトーシス細胞は9.4±3.6/10HPFであったが,抗TNF-α抗体投与群では,4.3±1.5/10HPFと減少していた. 4.p38免疫染色においては各群に差は無かったが,リン酸化p38免疫染色の検討では,抗TNF-α抗体投与群では無処置群と比べて陽性細胞数は減少していた.また,リン酸化p38-western blottingにおいても同様の結果であった. (結語) 小腸移植における免疫抑制法として、FK506と抗TNF-α抗体の併用は今後有望な方法となる可能性がある.
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