研究概要 |
本研究では、細胞増殖因子TGF-αと発癌性へテロサイクリックアミンTrp-P-2のマウス培養歯胚におよぼす影響を組織学的ならびに組織化学的(BrdU法)に検索した。本研究では、胎生17日目のddyマウス胎仔を使用し、実体顕微鏡下で下顎骨より第一臼歯の歯胚を摘出して周囲の組織を取り除き、さらに、口腔上皮および歯堤を除去して、歯胚成分すなわちエナメル器、歯乳頭および歯小嚢のみとした。器官培養はOrgan Tissue Culture Dish(Falcon3037)を使用し、歯胚をMillipore Filter(Millipore,AAWP01300)に載せてステンレス・スチールグリッド上に置き、5%CO_2、95%湿空気下、37℃のインキュベーターで培養した。培養歯胚は次のような3実験の7群に分けて行った。実験I.I-A群(BGJb)、I-B群(TGF-α)。実験II.II-A群(DMSO)、II-B群(Trp-P-2)、II-C群(MeIQx)。実験III.III-A群(TGF-α+Trp-P-2)、III-B群(TGF-α+MeIQx)。本研究の結果から,マウスの培養歯胚では細胞増殖因子のTGF-αは歯胚の上皮細胞の分化を抑制するが,上皮細胞の増殖を著しく促進することが推測された.また,発癌性へテロサイクリックアミンのTrp-P-2とMeIQxは歯胚の上皮細胞の増殖を抑制することが推測された.さらに,本研究の結果から,ヒトの口腔に生じる歯原性腫瘍や歯原性嚢胞の発生には細胞増殖因子のTGF-αが大きく関与していることが推察された.
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