研究概要 |
1.ゾルーゲル法による50wt%SiO_2-20wt%P_2O_5-30wt%CaO(SPC)合成:ゾルーゲル法応用によって調製されたSPC粉末は,焼成温度を変化させることによって生分解性歯科生体材料として有用と考えられた.400℃加熱粉砕SPC粉末は生体吸収性材料であることが確認されたが,900℃以下の焼成加熱粉末には生体材料に有用な水酸基(-OH)が残存し,α-TCP結晶が析出しているため生体材料に有用と考えられる. 2.ゾルーゲル法による50wt%SiO_2-20wt%Al_2O_3-30wt%CaO(SAC)合成:ゾルーゲル法応用によって調製されたSAC粉末は800℃以下の加熱まで水酸基(-OH)を有しており,有機官能基による機能修飾が可能と考えられた.結晶化は1000℃まで生じず900℃以下の加熱焼成粉末は,新規の歯科用セメント粉末に応用可能と考えられた. 3.ゾルーゲル法による単分散性球状シリカ(市販品)(EQ)の利用:ゾルーゲル法応用によって調製されたEQは単分散性サブミクロン球状粉末であることが確認された.γ-MPTSによるシラン処理は効果的に行なうことができたが,光学的性質に変化が生じ,拡散反射率と光屈折率はともに減少した.ゾルーゲル法応用によるシリカ系粉末は,今後も,光重合型コンポジットレジン配合フィラーに有用と考えられた. 4.今後の展望:ゾルーゲル法によって,再生医工学(生体組織工学)に役立つ生分解性材料を新規に調製することが期待される.得られるシリカ系材料は,単体として,あるいは,天然蛋白質(I型コラーゲン等)や生体吸収性高分子材料(ポリ乳酸等)と組み合わせて使用することが望まれる.特に,口腔硬組織の再生用材料に有用と思われる.また,ゾルーゲル法研究を進め,在来型歯科材料(歯科用セメントやフィラー等)の改良にも役立つと考えられる.
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