研究概要 |
1. スピーチ・バルブ付き顎義歯製作法 1) 個人トレーを作製し,アルジネート印象材にて咽頭側壁や後壁を含む印象採得を行う. 2) 採得した印象材に硬石膏を注入し,作業模型を完成する.必要以上のアンダーカットは石膏で修正する.スピーチ・バルブの設置位置はPassavant隆起を指標にしてワックス・アップを行う.通法どおり咬合採得,人工歯排列,試適を経て,重合,研磨を行い,顎義歯を完成する. 3) 完成したスピーチ・バルブ付き顎義歯の調整は通法どおりオブチュレータ部のアンダーカットを修整し,顎義歯の維持安定が得られるように注意しながら行う. 4) スピーチ・バルブの調整は咽頭側壁ならびに後壁には僅かな隙間(1-2mm程度)があるように調整を行う. 5) 鼻咽腔ファイバースコープにてスピーチ・バルブの形態・大きさを調整,修正し,鼻咽腔閉鎖が確実な顎義歯を完成する. 2. 機能評価法 完成したスピーチ・バルブ付き顎義歯の機能評価は以下のような診査法により行われる. 1) 鼻咽腔閉鎖機能の診査法 (1)頭部側方X線規格写真,(2)水飲みテスト,(3)blowing検査,(4)鼻咽腔ファイバースコープによる診査,(5)呼気流量測定 2) 構音機能診査法 (1)発語明瞭度検査,(2)会話明瞭度検査,(3)構音検査,(4)音響学的分析検査 3) 嚥下機能診査法 (1)水飲みテスト,(2)X線ビデオによる診査,(3)X線映画による診査 これら評価法のうち鼻咽腔ファイバースコープによる診査はスピーチ・バルブ付き顎義歯製作に際しても顎義歯の機能を評価する際にも有用であることが明らかになった.
|