研究概要 |
平成9年度はまず、基礎的な実験として,培養プレートのウェル底面に異なる表面処理を施し,骨系細胞を培養して,石灰化noduleの形成と細胞の分化について比較検討を行った. 24穴のマイクロプレートのウェル上に粒径25,125μmの酸化アルミナブラスト処理を施し,実験に使用した.なお,未処理のウェルを非ブラスト面とした.また,各表面あらさを測定し,走査電顕で表面構造を観察した.それぞれの培養プレートに新生ラット頭蓋冠から分散したosteoblastic cellsを播種し,培養した.培養期間はconfluentから21日間とした.培養期間終了後,フォンコッサ染色によるnoduleの観察ならびに数の算定,ALPase活性を測定した. 1.各処理面の中心線平均あらさ(Ra),最大あらさ(Rt)では125μmブラスト面で最も高い値を示し,走査電顕ではブラスト処理を加えた表面はともに凹凸不整な構造を呈しており,125μmブラスト面はさらに表面荒れが大きくなっていた 2.石灰化noduleが観察されたが,数および染色濃度のいずれにおいても125μmブラスト面の方が優っていた. 3.ALPase活性は125μmブラスト面で最も高い値を示した. 4.表面あらさが増大するに従い,石灰化noduleの数とALPase活性値は類似した増加傾向を示した. 以上の結果より,滑面と粗面では異なり,骨芽細胞は不規則な凹凸を好み,粗面の方がより骨芽細胞への分化が高い傾向にあり,この結果,石灰化noduleの形成が促進されることが示された.チタン表面においても同様に石灰化noduleの形成が粗面では増大している可能性は高く,形成された石灰化物が新生骨組織に成長し,表面の凹凸構造に侵入して機械的な嵌合効果が得られ,早期に安定した骨統合が達成されることが推測された.
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