研究概要 |
金属と接着性モノマーは、モノマーのの極性基と下地金属表面の相互作用によって接着し、接着界面の接着力と耐水性は、モノマーと下地金属の酸・塩基性によって決まる。現在,接着性モノマーとして、4-META、4-AET,MAC-10、MDP,VBTDT,M10psなどが用いられている。しかし、接着力と耐水性に及ぼすモノマーと下地金属の酸・塩基性の効果についてはほとんど解明されていない。これらを明らかにするためには異なる金属表面について、種々の接着性モノマーの吸着・だ散る挙動をスラベル必要がある。微小質量変化を検出できる方法として、水晶振動微量天秤法(Quartz Crystal Micro-balance, QCM)がある。この方法では、QCMを用いて、下地金属の種類を変え、接着性モノマーの吸着・脱離挙動を調べた。 以上の基礎的研究の結果、合金の高温酸化現象を利用して、貴金属合金とレジンの接着性を強化するための新しい概念を見出した。貴金属合金を大気中で高温(700〜800℃)で酸化した場合、Cuが酸化し、外部酸化層(酸化皮膜)と内部酸化層が形成する。内部酸化粒子を酸洗いで除去し、合金表面にミクロなスポンジ構造を創製し、レジンと機械的結合を強化した。また、高温酸化によって、チオリン酸系金属接着プライマーに対して親和性を有する表面に合金を改質し、化学的接着性を増強できた。さらに、軟質なスポンジ構造と高分子材料が複合化した傾斜機能層によって、レジン重合収縮に起因する界面応力を緩和できる。本法では、以上の3の概念を複合化することによって、貴金属合金と高分子材料との接着構造を強化できた。
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