1.動物実験 昨年度までに、ビーグル犬2頭の左右側下顎臼歯部にスクリュー型インプラント体を3本ずつ埋入した。治療期間の跡にアバットメントを装着し、精密印象採得、作業も形状でインプラント上部構造を製作した。なお、片側の上部構造については意図的に適合が不良な状態を付与し(実験例)、反対側には臨床的に適合良好な上部構造(コントロール側)を製作、装着した。上部構造装着後から臨床的観察および規格X線による観察を行い、5週後と17週後にインプラント体を含めて周囲組織を採取し、非脱灰組織標本を作製した。 以上の結果、観察期間を通じてインプラント周囲粘膜は肉眼的に健康な状態を維持し、実験側、コントロール側ともX線的に評価したインプラント周囲骨の変化は軽微であった。また組織学的評価においても、実験側、コントロール側間で周囲組織における差異は認められず、インプラント体が広範囲に周囲骨と接触していた。 2.有限要素法による解析 昨年度までに、基本的な形態の有限要素モデルを作成してきた。今年度は、実験動物から採取した、インプラントを含む顎骨標本の断面形態を参考にしてモデル各部の修正を行った。実際の形態をモデル作成に利用することで、より的確な有限要素モデルの作成が可能となったと考えられる。しかし解説についてはいまだ検討の予知があると考えられる。 3.今後の展開 動物実験については、実験動物の頭数を追加して定量的解析を試み、また有限要素法では作成したモデルを基に、より詳細な解析を行う予定である。
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