研究概要 |
高い弾性を有し、かつ疲労に強いキャストクラスプとなるように、レーザ照射した表層のみ硬化するレーザ用金銀パラジウム合金の実験を行ってきた。今回は、レーザ用金銀パラジウム合金についてJISに基づく機械的性質を調べた。 (1)18wt%Au-40Ag-20Pd-22Cu合金の照射痕の硬さが最も大きくなった照射条件は、パルス幅4ms、レーザエネルギー14J/Pであった。この照射痕の硬さは252.7HVで、従来の電気炉により硬化処理したものより24%硬化した。 (2)12wt%Au-40Ag-20Pd-24Cu-42n合金の最高硬さとなった照射条件は3ms、12J/Pで、痕の硬さは286.2HVとなり硬化処理したものより181%硬化した。 (3)18wt%Au-40Ag-20Pd-22Cu合金に軟化処理を施した後レーザを照射した合金の伸びは、軟化処理したものより僅かの減少に止まった。(4)18wt%Au-40Ag-20Pd-22Cu合金において、37℃0.1%NaS_2溶液中に3日間浸漬後の照射痕(照射条件:パルス幅4ms,レーザエネルギー14J/P)の明度L^*は、73.07となりJIS(T6105)に適合した。レーザの表面改質により耐変色性が向上した。 (6)18wt%Au-40Ag-20Pd-22Cu合金の液相点は945.1℃で、12wt%Au-40Ag-20Pd-24Cu-4Zn合金のは919.7℃で、これらレーザ用金銀パラジウム合金はJIS(T6105)に適合した。
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