研究概要 |
卵巣摘出ラットモデルにより骨粗鬆症を作り出し、アマルガム充填と高コレステロール食事の影響を見た。90日齢の雌SDラットを8群に分け、1;Sham,2;Sham+Amalgam,3;OVX,4;OVX+Amalgamの4群には10%(w/w)lardの合成食(HC)を与え、5;Sham,6;Sham+Amalgam,7;OVX,8;OVX+Amalagamには普通食を与えた。Amalgam充填は右側上顎第一臼歯に施した。術後15週目に下顎骨、〓骨、子宮、胸部動脈を採取した。体重増加には卵巣摘出と高コレステロール両者の影響が見られた。15週目で卵巣摘出群で普通食とHC食で345gと405g、Sham群では280gと352gであった。Amalgam充填の影響は見られなかった。子宮の重量はSham群で普通食とHC食で600と714mg、卵巣摘出群で137と188mgであった。同様、充填の影響は見られなかった。解剖した際に高コレステロール食の影響による脂肪腫が卵巣術部と腹腔内に見られた。また、動脈には硬化症状のプラークが見られた。〓骨の骨密度ををCXD法により定量したが、ShamとSham+Amalgam群が1.0-1.2±0.02(ΣGS/D)であったのに対し、卵巣摘出と卵巣摘出+Amalgam群では約20%減少の0.79-8.1±0.020(ΣGS/D)であった。なお食餌による差と充填による影響は見られなかった。電子顕微鏡による解折から〓骨の海面骨性状は卵巣摘出群で粗となっていることがわかった。不正咬合による下顎骨への影響は、右下顎骨は頬側面を臼歯を付けたまま研磨し、電子顕微鏡で観察して歯根膜状態を分析したが、不正咬合歯の歯根膜に線維が粗となる劣化が見られた。また、下顎関節突起の骨量を画像分析装置で測定したが、食餌と卵巣摘出による有意差は見られなかった。これらの結果より、ホルモン代謝に変化が起こる更年期女性では食生活習慣によるコレステロール摂取により不正咬合の影響が歯根膜に出る可能性があることが示唆された。
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