研究概要 |
直線偏光近赤外線星状神経節近傍照射の顎関節症への有効性を検討するために,直線偏光近赤外線治療器スーパーライザーを用いて,直線偏光近赤外線の星状神経節近傍照射を行い,顎関節部の組織血流量および皮膚温度の変化を観察した.平成9年度に行った研究では照射条件を2秒間照射8秒間休止としたが,今回は照射条件を5秒間照射5秒間休止とし,いずれの条件がより効果的かを検討した. 有志健康成人7名を対象とした.仰臥位にて15分間安静を保ったのちレーザー血流計ALF21のプローブを顎関節部皮膚に装着し,同部の組織血流量を測定すると共にサーモメータを用いて皮膚温を測定した.次に第6頸椎横突起を触知確認後,星状神経節近傍にスーパライザーのレンズユニットを固定し,5秒間照射5秒間休止の頻度で直線偏光近赤外線を5分間照射した.照射後10分間隔で組織血流量と皮膚温を測定し,経時的変化を比較検討すると共に,平成9年度の照射条件を2秒間照射8秒間休止とした研究結果とも比較した. その結果,組織血流量は照射前7.9±2.0,照射終了直後9.4±3.2(+19.0%),10分後9.7±2.8(+22.8%),20分後10.0±3.7(+26.6%),30分後9.5±3.5(+20.3%),40分後9.3±3.7ml/l00g/min(+17.7%)と増加した.皮膚温は照射前34.5±0.5,照射終了後34.7±0.5,10分後34.7±0.6,20分後34.7±0.7,30分後34.8±0.8,40分後34.8±0.9℃と上昇傾向を示した. 本研究結果から,直線偏光近赤外線の星状神経節近傍照射条件は2秒間照射8秒間休止よりも5秒間照射5秒間休止とする方が,組織血流量の増加は迅速かつ長時間持絖しやすく,また皮膚温も上昇しやすいことが明かとなった.
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