研究概要 |
1) 1993年〜1996年の琉球大学医学部附属病院歯科口腔外科において、生検や外科的切除を行った口腔扁平上皮癌60例を対象に、組織学的検討とヒトパピローマウィルス(HPV)について検討した。 また、同時期の北海道(札幌医大・口腔外科)の症例42例の口腔扁平上皮癌についても同様に検討した。症例は、琉大では男性47例、女性13例、平均60.5歳であった。札医大では、男性31例、女性11例、平均60.5歳であった。 方法は、病理組織学的検討を行い、さらにパラフィンブロックよりDNAを抽出し、HPV6,11,18.のE6およびE7領域DNAをPCR法で増幅した。電気泳動後、Southern.blot法により確認した。結果:琉大の症例では、HPV DNAの陽性率は78.3%で、舌7/15例、咽頭10/14例、口底10/10例、上顎洞3/4例、頬粘膜5/5例、歯肉6/6例、口唇3/3例、鼻腔、耳下線、口蓋各1/1例であった。他方、北海道の症例では、HPV DNAは26.2%の陽性率であった。部位別では舌7/20例、下歯肉2/7例、口底1/5例、咽頭1/5例であった。組織学的には、沖縄県の症例では高分化型35例、中分化型19例,、低分化型5例、dysplasia 1例であったが、北海道の症例では高分化型17例、,中分化型13例、低分化型12例で低分化型がやや多い傾向がみられた。これらの結果より、沖縄県の症例にはHPVが高率に検出され、組織型に影響を与えている可能性が考えられた。 2) さらに、EBV DNAについても検出を行った。EBVについても沖縄県の症例では陽性率78.3%、北海道の症例では陽性率43.2%となっており、沖縄県の症例に高率に検出された。 3) HPV DNAおよびEBV DNAのPCR産物をHitachiSQ5500シークエンサーで検討したが,mutation等はみられなかった。
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