研究課題/領域番号 |
09672061
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
高田 豊 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40163208)
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研究分担者 |
松村 潔 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (70285469)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1998年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1997年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 歯科 / 抜歯 / 血圧 / 交感神経 / 副交感神経 / 加齢 / スペクトル解析 / 高血圧 / 年齢 / 自律神経 / スペクトル分析 |
研究概要 |
抜歯治療中の血圧低下における副交感神経と血管内皮依存性弛緩物質の役割を検討するため、抜歯時の血圧・脈拍数の測定と共に、抜歯時の副交感神経と交感神経の変化を24時間Holter心電図心拍数R-R間隔スペクトル分析と血中カテコラミン3分画の測定で解析した。血管内皮依存性弛緩物質の役割に関しては抜歯中の血中NOxを測定する事で検討した。 抜歯のため当大学附属病院口腔外科を外来受診した患者を対象とした。40歳以上の中高年者20名と40歳未満の若年者20名を、140/90mmHg以上の高血圧者18名と年齢・性を一致させた正常血圧者18名をそれぞれ対象とした。24時間Holter心電図と自動血圧計を装着した。24時間Holter心電図は連続記録、血圧は2分毎連続記録を行った。R-R間隔スペクトル分析処理プログラムを用い、診療台移動前、移動後でかつ局麻前、局麻後でかつ抜歯前、抜歯中、抜歯後に分けて各箇所を5分間ずつR-R間隔スペクトル分析を行った。正常ボランティア8名を対象に抜歯時の血圧・脈拍数測定に加えて抜歯中の採血を行い抜歯時の血中カテコラミンとNOxの変動を測定した. 局麻前の基礎血圧は121/70mmHg、脈拍は70/分であった。8万倍エピネフリン含有キシロカイン局麻投与で血圧、〓共に増加した。抜歯術中にさらに血圧は上昇し、132/73mmHgとなった。血圧の上昇は特に40歳以上(n=20)の中高年齢者で著明であった。一方、%HFが局麻により40歳未満の若年者(n=20)で有意に減弱した。LF/HFは局麻により若年群で増強され、中高年群で減弱した。治療前血圧は正常血圧者119/71mmHg、高血圧者149/85mmHgであった。抜歯治療中はそれぞれ136/77mmHg、162/89mmHgと上昇したがその変化度に差を認めなかった。 正常血圧群では麻酔時に治療前に比し有意に%HFが低下し、高血圧群では麻酔時及び抜歯時にLF/HFが有意に低下した。しかし、抜歯中の血圧上昇の程度は、24時間の血圧・HF・LF/HFと相関を示さなかった。また、治療中の採血検査では局麻後にアドレナリンの、抜歯時にアドレナリン、ノルアドレナリンの有意な上昇を認めたが、血中NOx濃度は変化しなかった。 以上から、抜歯術で中高年患者で血圧上昇が若年者より大であること、R-R間隔スペクトル分析で解析された抜歯術中の副交感神経と交感神経の変動が若年者と中高年者で異なることが示唆された。高血圧者と正常血圧者との比較では抜歯時の血圧上昇は両群間で差がなかったが、交感神経・副交感神経の変動では両群に差が認められた。3つの研究から総合的に考えると、高齢者と高血圧者では正常者と比較して抜歯時にLF/HFの抑制が起こる事から、高血圧と加齢が抜歯時の心臓交感神経抑制で示される自律神経系の機能低下を共通して発現する可能性が示唆された。
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