研究概要 |
1 象牙質の再石灰化に及ぼすレーザー照射ならびにAPFの影響 脱灰歯根をAPF処理またはYAGレーザーを照射し,2週間再石灰化液に浸漬して再石灰化の程度をmicroradiographyで評価した。結果は1)APF処理(-)レーザー照射(+)群ではhyper-remineralizationが抑制され,対照群と比較して有意にlesion depthが回復した。2)APF処理は再石灰化を促進し,hyper-remineralizationの形成を抑制した。3)APF処理群ではレーザー照射の効果は認められなかった。 2 EDTAで脱灰された歯根象牙質初期lesionの再石灰化能 EDTAを歯根象牙質に15,30,120分間作用させて脱灰した後2週間再石灰化させ,その程度をmicroradiographyで評価した。最も脱灰条件の厳しいEDTA120分処理群においてはフッ素を含む再石灰化液浸漬での評価も行った。結果:フッ素が再石灰化液に含まれない場合,再石灰化は全く起こらなかった。フッ素が含まれる場合はlesionの底部において再石灰化が認められた。 3 象牙質lesionのミネラル分布と再石灰化の関連 4種類のミネラル分布の異なる脱灰象牙質の再石灰化に対するフッ素濃度の効果について検討した。結果:1)no mineral lesion typeでは低濃度フッ素はlesion frontにおいてのみ再石灰化を促進したが,高濃度フッ素はlesion全体において再石灰化を促進した。2)softened lesionではフッ素は再石灰化ミネラル量を有意に促進しなかったが,再石灰化ミネラル分布の局在に影響を及ぼした。3)subsurface lesionでは10ppmフッ素が再石灰化を有意に促進したが,これはhyper-remineralizationの影響であると考えられた。
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