研究分担者 |
藤田 浄秀 横浜市立大学, 医学部, 教授 (90106328)
曽田 研二 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80154706)
鳥羽 和憲 横浜市立大学, 横浜市衛生研究所, 所長 (50012753)
小林 伸好 横浜市立大学, 横浜市衛生研究所, 部長
野口 有三 横浜市立大学, 横浜市衛生研究所, 係長
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研究概要 |
歯科医療従事者のC型肝炎ウイルス(HCV)感染の危険性は,感染経路が B 型肝炎ウイルスと類似しているため,高いものと推測されている.しかしこれまでの報告では歯科医師は職業上の感染リスクが高いとする報告と低いとする報告の両方があり,評価が定まっていない.そこで本研究では,歯科医療従事者の集団を対象にボート研究を行い歯科医療従事者の HCV感染の危険性を評価し,また職業上の危険因子を明らかにすることを研究目的として研究をすすめた. 対象は歯科医師が279人,歯科衛生士が255人,歯科助手が265人,歯科技工士が34人で合計833人とした.歯科医師のHCV抗体陽性率は1.08%,歯科衛生士のHCV抗体陽性率は0.39%であり,歯科助手,歯科技工士ではHCV抗体陽性者は見られず,全体のHCV抗体陽性率は0.48%だった.この結果は各職種の平均年齢を考慮すると献血者の抗体陽性率との差は認められなかった.889人年の追跡調査が行われたがこの間に抗体陽転者は認められなかった.針刺しの実態調査では,追跡期間中に歯科医師で63%,歯科衛生士で68%,歯科助手で51%,全体で61%の歯科医療従事者が針刺しの経験があったと回答した.年間の針刺し回数は1-3回と回答したものが歯科医師で75.0%,歯科衛生士で63.9%,歯科助で67.9%,全体で69.2%と大半を占めたが10回以上と回答したものが歯科医師で2.5%,歯科衛生士で8.3%,歯科助手で14.3%,全体で7.7%みられた.しかし,このような暴露を受けてもHCV抗体陽転者は見られなかった.以上の結果より歯科診療を介したHCV感染の危険性は非常に低いものと考えられた.
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