研究概要 |
近年歯科領域では,院内感染対策の意識が高くなっており,機能的で扱いやすい空気清浄装置を望む声が増えている。しかし都心に近いほど,歯科診療室の殆どは空間に余裕がないことから,最適な換気回数が得られる程度の大型の空気清浄装置を使用することは困難である。水平流式パーティション型空気清浄装置A型とC型の組合せは,装置全体が極めて薄いパネル式であるため,各デンタルユニットを個室の様に仕切ることが可能であることから,各患者のプライバシーが保たれ,さらに高い効果が期待できると考えられた。モデル実験でA,C型を同時に作動させた条件では,切削時に浮遊粉塵数急激に上昇するが,3分後には,ほぼ前値となった。次にA,C型を停止させた条件では,切削時から約1時間は浮遊粉塵数の減少が少なかった。またA,C型を作動してから約10分後には,クリーンブース内の空気清浄度は良好に維持されていた。A型のみ作動させた条件では,浮遊粉塵数の減少は,A,C型を作動させた条件より,前値まで2倍の時間を要した。浮遊α,γ溶血レンサ球菌はいずれも,歯牙切削時に上昇し,その後も若干検出された。臨床試験では,歯牙切削を要する患者の口元から30cmとした測定点で浮遊粉塵数ならびに浮遊菌を測定した。浮遊粉塵数と浮遊菌の変動はほぼ一致していた。図中で斜体の数値で示したように,歯牙切削時に浮遊菌の増加は明らかであった。特にグラム陽性球菌とグラム陽性桿菌の増加傾向がうかがえた。本装置A,C型を使用した条件では,歯牙切削後の浮遊菌の減少は,診療会誌時間までは効果があると考えられたが,モデル実験ほど明らかではなかった。
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