研究概要 |
1.ヒドロキシメチレン基を活用するカルボニル化合物の位置特異的フッ素化法 α-フルオロカルボニル化合物は最も基本的な含フッ素合成単位であるが,カルボニル化合物の直接フッ素化は困難である.そこでカルボニル化合物をホルミル化してα-ヒドロキシメチレン基を導入して活性化した.このα-ヒドロキシメチレンケトン体を低温化分子フッ素を導通後,水洗処理した,高い収率でα-フルオロカルボニル化合物を得ることに成功した.このフッ素導入法は反応条件が極めて緩和なこと,極めて位置特異的であることなどから,広範なα-フルオロカルボニル化合物の合成法として有用である. 2.複素環化合物の位置選択的フッ素化法 多くの医薬品の母核である複素環の位置選択的フッ素導入法の開発は医薬品化学において極めて重要であるが,一般に複素環へのフッ素導入法は殆ど未開拓である.著者は分子フッ素を用いてエノン系(またはそのビニログ)を内蔵する含複素環化合物(ウラシル,2-ピロン,2-キノロンなど)を極めて容易にかつ位置選択的にフッ素化することに成功した. 3.含フッ素合成子の開発 アセトアセタニリドを分子フッ素でフッ素化し,α-フルオロアセトアセタニリドを合成し,その閉環により3-フルオロ-2-キノロンを合成できた.また,ジケテンをフッ素化後、アニリンと反応させ、γ-フルオロアセトアセタニリドを合成でき,そのパン酵母還元により含フッ素キラル合成子を高エナンチオ選択的に合成できた.
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