研究概要 |
ベトナム人参(Panax vietnamensis)のメタノールエキスを、EBV-EA発現抑制試験を用いた。EBV潜在感染ヒトリンパ芽球様細胞株Raji細胞を用い、TPAによる初期抗原(EA)の誘発率を間接蛍光抗体法により抗発癌活性を測定したところ、100(g/mlあたり38%の活性が認められ、これから得られた粗サポニン分画には10(g/mlあたり74%という強い活性が濃縮されていたことを見出した。 この分画から得られた7種のサポニン(majonosides-R1 and R2,ginsenosides-Rb1,Rb2,Rd,Re and Rg1)のうち、majonoside-R2に強い活性が認められた。これは本種に特有のオコチロール型主サポニンであり、活性発現に必要な構造因子としてのオコチロール骨格および、本種の活性本体を明らかにした。 活性の最も強かったmajonoside-R2をフローサイトメトリー法により分析し、本化合物は細胞周期のS期を濃度依存的に有意に増強させることを見出し、この活性発現の機序の一端を明らかにした。ついで、majonoside-R2についてin vivoのマウス二段階発癌抑制実験を行った。ICR雌性マウスを用い、DMBAとTPAで発現させた皮膚乳頭腫の抑制活性を測定し、10,15,20週において、それぞれ、30,50,80%抑制し、その活性は強い活性が知られてぃるglycyrrhetic acidを凌いでいた。別の二段階発現系として、DMBAとfumonisin B1を用いて同様な実験を行ったところ、やはり、強い活性を見出した。 さらに、DENとpentobarbitalで発現させた肝臓癌について、25週後に対照群には80%の腫瘍が認められたのに対して、majonoside-R2を週あたり1.26mgの投与した群では僅かに39%という著効を見出した。この成果を1998年10月にベトナムのハノイで行われた国際学会(第9回ASOMPS)で発表した。
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