研究概要 |
初年度は2-メチルシクロヘキサノンおよび2-エチルシクロヘキサノンに(S)-(-)-フェニルエチルアミンを作用させ得られたイミンとアクリル酸メチルとの反応を検討した.次年度は2-アリルシクロヘキサノン,2-イソプロピルシクロヘキサノン,2-メチル-4-t-ブチルシクロヘキサノン,2-エチル-4-t-ブチルシクロヘキサノンを用いた.また2,3-ジメチルシクロヘキサノンの場合について同様の反応を検討した.絶対配置については一部のものについて外部補助基を導入してX線解析により決定した.3置換体の相対配置の決定には600MHzNMRを用いた.従って立体配座も決定した.生成したケトエステル体すべてについてCDスペクトルを測定した.2位の絶対配置はいずれも(S)と決定した.これより絶対配置が判明するとともに立体配座も明らかとなった.2-メチルシクロヘキサノンと2-エチルシクロヘキサノンの違いは6員環の立体配座の差であることが結論づけられた.それぞれの最安定配座をCONFLEXを用い,MM2の計算を行ったが,実際の存在比との関連は今後の課題である. 2,3-ジメチルシクロヘキサノンの場合は3位のメチル基の立体配置によって外部補助基とのマッチング,ミスマッチングが存在し,ジメチル基がcisの化合物の合成に大変利用価値が高いことが判明した.この不斉Michael型反応は一般性が高くまたeeも高いのが特徴であり,多置換体に応用した例を詳細に検討したのはこれが初めてである.
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