研究概要 |
NOのHPLC-蛍光定量法の開発を検討した.まず,NOと2,3-ジアミノナフタレン(DAN)との反応で生じた蛍光体を,MeOHから再結晶して,mp185℃の黄色結晶を得た.機器データの結果から,これは,2,3-ナフトトリアゾールであった.NOの発生剤であるSNAPを用いて,DANと反応させた場合,そのHPLCピークは標準品のピークと一致した.NOの捕捉剤と考えられるヘモグロビン、ミオグロビン,オキシヘモグロビンを共存させた場合,オキシヘモグロビンとミオグロビンは直ちに捕捉することが分かった.ヘモグロビンは約10分後に約90%を,メトヘモグロビンは約30分後に30%を捕捉した.更に,ジメチルジチオカルバミン酸-Fe錯体が非常に強力な捕捉剤であることも分かった.本法により,NOの捕捉効果が簡便に測定可能である.次いで,植物細胞中のNOの定量に応用するための検討を行った.本研究ではAgave pacitticaのShoot細胞を継代培養したものを試料に用いた.培養細胞0.5gに,0.2mMDANを含むnitrite free Appendix C(pH5.9)25mLを添加後,25℃,3hインキユベーションする.遠心分離後,洗浄し,得られた細胞を1mLのメタノールでホモジナイズする.これを遠心分離し,上清の20μLをHPLCに注入した.NO-DAN標準品の検出下限は,8fmol/inj.(S/N=3)と高感度であった.インキュベーション前後のDANの蛍光強度から算出した細胞内への取込み率は19.6%であり,また,ピーク強度から算出した細胞内のNO濃度は5.3±1.6pmol/g(n=3)であった.今後,NOと植物細胞の関わりを検討したい.
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