研究概要 |
本研究では,モレキュラーインプリンテイング法(MI法)に新規機能性モノマーを導入して,医薬品を認識する人工高分子の合成とその分析化学的応用の検討を行った。 1) 新規機能性モノマー2,6-ビス(アクリルアミド)ピリジンを用いて,5-フルオロウラシルを認識する人工レセプターの合成を行った結果,2,6-ビス(アクリルアミド)ピリジンが核酸塩基の認識に有効であることが示された。 2) 抗マラリア薬シンコナアルカロイドのMI法では,シンコニジンにはMAA,そのジアステレオマーであるシンコニンにはTFMAAが適していることがわかった。 3) 核酸塩基誘導体9-エチルアデニンをモデル化合物として,亜鉛ポルフィリンモノマーを用いてMI法を行ったところ,アデニン骨格に対して選択的な人工レセプターが得られた。また,錯形成とともにポルフィリン由来の蛍光は消光し,可視吸収極大波長は長波長側にシフトした。これらの現象を利用して新しい核酸塩基の計測法の開発が可能なことが示唆された。 4) ステロイド系植物ホルモンのカスタステロンのインプリントポリマーをアフィニティ会離メディアに応用することを検討した。機能性モノマーにp-ビニルベンゼンホウ酸を用い共有結合による相互作用から合成したポリマーは、カスタステロンに対し非常に強い選択性を示した。 5) インプリントレセプターを固相抽出に応用することを検討するために,植物ホルモシのインドール酢酸をモデル認識対象分子として、機能性モノマーにN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートを用いてインドール酢酸のインプリントレセプターを合成した。クロロホルムを用いる固相抽出系ではインドール酢酸を93%回収することができた。
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