| 研究概要 |
前年度までにhsp70遺伝子上にG1特異的エンハンサー領域wtBを同定した.更にこの領域に結合するタンパク質因子の同定とcDNAクローニングを行い,解析した.
wtB配列は既にc-Myc複合体が結合する配列であることを以前に報告した.そこで,まず,wtB配列に結合するタンパク質cDNAを酵母One=hybrid法でスクリーニングし,得られたpositive clonesを更に,c-Mycをbaitとした酵母Two=hybrid法でスクリーニングした。得られたクローンはCCAAT結合タンパク質の一つであるNF-YC/CBF-Cであった.wtBは以前報告したMYC-B配列とCCAAT配列が一部重複している.そこで,NF-Y/CBFとc-Mycとの相互関係を検討したところ,,両者はin vivo ,in vitroで結合し,この両者はともにwtBのエンハンサー活性に必須であることが明らかとなった.更に,両者は細胞周期の移行に伴う発現量の差によって転写活性が左右されることが明らかとなった.則ち,c-Myc発現量の少ないG1期においては,NF-Yとc-Mycは安定な複合体形成をおこない,転写を活性化するが,S期に入りc-Myc量の増加に伴い,過剰なc-MycはNF-Y/CBF複合体よりそのサブユニットであるNF-YC/CBF-Cと選択的に結合し,NF-Y/CBF複合体を解離させ,転写活性と抑制することが判明した.c-Mycによるhsp70遺伝子の転写調節機構に大きく前進したと考えられる.
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