研究概要 |
当研究室はすでに海洋細菌Vibrio alginolyticusに存在するNa^++輸送NADH-quinone reductase (NQR)の構造遺伝子は6個より構成されることを明らかにしている.本研究において,SDS-PAGEでの蛋白質染色法を改善し,精製したNQR複合体にNqr1からNqr6までの6種のサブユニットを確認,それぞれのN末アミノ酸配列から,遺伝子上の読み枠を実験的に決定した.また,変異株Naplの変異箇所はnqr6遺伝子に1.2kbpのDNA断片が挿入されているためであった.精製したNQR複合体をNqr1,Nqr3,Nqr6,Nqr2,4,5に解体し,これらのサブユニットからの再構成系を確立した.なお,Nqr2,4,5はすべての疎水性サブユニットを含んでおり,各サブユニットヘの解離はできなかった.最近,新しい抗生物質として発表されたkorormicinはNQRを強力に阻害することが分かり,その阻害様式はQ-1に対してnoncompetitiveで,阻害定数は82pMであった.また,korormicinの結合部位はHQNOと部分的にoverlapしていた.すでに,大腸菌を用いNQR遺伝子を大量発現させるプラスミッドを構築しており,ここで開発した再構成系を用いて,各サブユニットの活性測定が可能となた.
|