研究概要 |
細胞培養系を用いて,周皮細胞が産生するプロテオグリカンの生化学的特性を調べ以下の結果を得た。ウシ網膜由来周皮細胞をサブコンフルエントまで培養後,[^<35>S]硫酸または[^<35>S]メチオニン/システインで代謝標識し,放射活性なプロテオグリカンを分析した。細胞層および培地に蓄積した[^<35>S]硫酸標識プロテオグリカンはDEAE-Sephacel陰イオン交換クロマトグラフィーによって3つのピークに分離された。Sepharose CL-6Bクロマトグラフィーによって,最も低荷電のピークの主成分が約45kDaのヘパラン硫酸を結合したヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPGs)であり,他の高荷電の2つのピークの主成分は約45kDaのコンドロイチン/デルマタン硫酸を結合したコンドロイチン/デルマタン硫酸プロテオグリカン(CS/DS PGs)であることが示された。主な産物はHSPGsではなく,CS/DS PGsであったので,これをSepharoseCL-4B,SepharoseCL-2B,SDS-PAGEおよびWestern blot分析によって分析し,周皮細胞が大型で高荷電なバーシカン分子および小型で低荷電なビグリカンおよびデコリンを産生することが示された。予備的な検討の結果,バーシカン,ビグリカン,デコリンおよびパールカンの産生が,血小板由来増殖因子,塩基性線維芽細胞増殖因子,トランスフォーミング増殖因子-β,腫瘍壊死因子-αなどの細胞増殖因子/サイトカインによる調節を受けることが認められたが,詳細な構造上の変化については今後の課題である。
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