研究概要 |
脳機能作用薬の創製を目的に、リード化合物の探索研究を行った。 市販の合成抗痴呆薬(脳機能改善薬)であるアニラセタムを参考にして(2R,5S)-2-aryl-1-aza-3-oxabicyclo[3.3.0]octan-8-oneの各種誘導体の合成をドラッグデザインした。平成9年度は、上記化合物のベンゼン環に置換基をもつ誘導体を7個、5位に置換基をもつ誘導体を11個、7位に置換基をもつ誘導体を18個、6位と7位に置換基を持つ誘導体2個、および加水分解によって得た2-ピロリジノン誘導体多数を合成した。特に、不飽和結合をもつ(2R,5S)-2-aryl-1-aza-3-oxabicyclo[3.3.0]oct-6-en-8-one誘導体は各種ピロリジノン誘導体の合成に多目的に使用できることがこの研究で明らかとなった。これらの研究成果は、上記化合物群の合成手段に新しい知見を与えた。 平成10年度は、(2R,5S)-2-aryl-1-aza-3-oxabicyclo[3.3.0]oct-6-en-8-Oneを用いて連続Michael付加反応および1,3-双極子環状付加反応を検討し、さらに高い薬理作用が期待されるカイニン酸類縁体の合成を目指し、多数の類縁体を合成した。 合成した化合物について、マウスを用いた行動薬理学実験(受動的および能動的回避反応)を行い、活性を検討した。その結果、数種の化合物は顕著な活性を示した。その活性は市販されている抗痴呆薬アニラセタムと同程度の活性があり、この化合物群が新しい骨格をもつリード化合物になる可能性が示唆された。 ついで、5員環ラクタム誘導体に活性がみられたことから、5員環のアミドを分子中に含む天然化合物のtilivallineの合成を試み、立体選択的合成を完成させた。
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