研究課題/領域番号 |
09672336
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
藤井 恵美子 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (20075493)
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研究分担者 |
入江 かをる 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50075496)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 敗血症性ショック / エンドトキシン / 細静脈血管透過性亢進作用 / エンドトキシントレランス / 副腎皮質ホルモン / サイトカイン / 一酸化窒素 / プロスタグランジン |
研究概要 |
〔研究実績の概要〕 敗血症時に細菌により放出されるエンドトキシン(LPS)などの細菌性毒素はサイトカイン、一酸化窒素(NO)などのケミカルメディエーター産生を亢進し、エンドトキシンショックの誘因となると考えられている。我々はLPSによる皮膚血管透過性亢進はサイトカイン、NO、プロスタグランジンを介して生じることを明らかにした。心拍数や血圧に影響を与えない少量のLPS前投与により、LPSによる皮膚血管透過性亢進が抑制され(同分子種間トレランス)、この時LPS以外の炎症メディエーター(5-HT、PAF、サブスタンスP、ヒスタミン)による皮膚血管透過性も抑制される(異分子種間トレランス)ことを発見した。エンドトキシンによる血管透過性の亢進は、エンドトキシンショックの原因のひとつと考えられているが、皮膚血管透過性亢進作用に関するトレランスの研究はまだ報告されていない。本研究は、この血管透過性におけるエンドトキシントレランスの性質をより明らかにすることを目的に、トレランス成立時に関与するメディエーターとの関連に焦点をしぼり研究した。 1.成績 1)少量のLPSをマウスの腹腔内に1回投与し、一定時間後にLPSまたは炎症メディエーターによる血管透過性亢進作用をポンタミンスカイブルーによる色素漏出法により調べた。LPS前処置後LPSによる血管透過性亢進が抑制されトレランスがみられ、このトレランスは一過性で、LPS前処置2時間以後24時間までみられるが2日後には消失した。この時LPS以外の炎症メディエーターによる血管透過性亢進も抑制された。 2)トレランスと副腎皮質ホルモン、サイトカインおよびNO LPS前処置後、血清コルチコステロン値はLPSの投与量に依存して増加した。副腎摘除動物ではLPSトレランスは消失した。LPS作用の一部は、サイトカイン分泌を介するといわれている。TNF-αやIL-1α前処置によりLPSによるトレランスが生じた。NO合成酵素阻害薬(L-NAME)の前処置により、LPSトレランスは抑制されたが、トレランス成立後にL-NAMEを投与しても、LPSトレランスは消失しなかった。iNOS欠損マウスでは、LPS前処置後のLPSトレランスを生じなかった。 2.結語 LPS少量前処置によってLPSによる皮膚血管透過性亢進作用についても、一過性のトレランスを生じることが明らかとなった。さらにLPS前処置により、LPS以外の炎症メデイエーターに対するトレランスも生じた。LPSトレランス発現には副腎皮質ホルモン、サイトカイン(TNF-α、IL-1α)、NOが関与することが明らかとなった。しかし、副腎皮質ホルモン、サイトカイン、NOの相互の関係は不明であるので今後はそれらの関連性を明らかにし、トレランスを成立させる安全な物質が発見できれば、重症敗血症の危険性がある患者に予防的に応用できる薬物としての可能性が生じると考えられる。
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