研究概要 |
本研究は、生体が本来備えている動物血清レクチンのヒトでの動態及びその性質を把握し、生体でのレクチンのトータルな役割を探ろうとするもので、糖鎖を表面にもつ微生物感染における宿主の新しい生体防御のメカニズムを検討するものである。 1)私達がウシで精製し、クローニングしたコレクチンcDNAやその他のcDNAをプローブとして、動物やヒトの種々のコレクチンの遺伝子をクローニングした(Kawai,Gene,1997.,Kawai,Glycobiology,1998)。 2)得られたcDNAを用いて、大腸菌や真核細胞を用いてのリコンビナントコレクチンの作成を行い、コレクチンの諸性質を比較検討した(Eda,Biochem.J,1997.,Eda,Biosci.Biotech.Bioch.,1988.,Suzuki,Biochem.Biophys.Res.Commun.,1997.,Ohtani,J.Immunol.Methods,1999)。さらに本リコンビナントレクチンを用いてウサギに免疫し、抗体作製を行い、それらを用いてコレクチンのアッセイシステム(ELISA法)を確立した(Ohtani,J.Immunol.Methods,1999)。 3)本邦における欠損症の存在を検討するため、さらに正常人のコレクチンの正常値を設定する目的で、大阪府下衛生研究所や自衛隊中央病院の協力を得て、いろんな年齢における血液を得、血清と白血球を分離した。自衛隊では特殊レンジャー部隊での、レインジャー訓練の前後でのレクチン量を比較し、ストレス時の変化を調べた。減少、普遍、増加は60%、20%、20%の比率であった。全体の平均値では減少を示した。(Keshi,manuscript preparation)。急性炎症蛋白ではストレス時に増加を示すことが多いが、レクチンでは逆の現象がみられた。
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