研究概要 |
未分化段階由来のT細胞腫瘍について詳細な研究を行って来た(Blood 82:207,1993;Am J Hematol 45:150,1994;ibid 45:310,1994;ibid 49:6,1995)結果、CD7+CD2+の群、即ち、旧来は、前胸腺段階由来のT細胞腫瘍の1病型とされて来たものの中にNK文科経路の未分化段階由来の腫瘍が含まれていることを推測して来た(Blood 89:4665,1997)。この事を本格的に証明するのが本研究の目標であった。T分化経路に検出されNK分化経路には検出されないという意味でpreTα(pre T-cell receptor)分子のRT-PCRによる検出を作業に含めた。CD7+CD2+群は、CD7+CD5+群に比較して頻度が低く、従って、T-ALL/LBL全体の中での頻度も極めて低い。本研究の実施期間中に該当の症例に遭遇できなかった。(本報告書の執筆中に漸く、1例から材料を得て、検索中である。) ただ、10年度報告書に記載したように、(1)α・β鎖の発現される段階でもpreTα発現が十分に残存している、(2)(β鎖遺伝子再構成のある)γ・δ鎖発現のT-ALL株細胞3種についてもpreTα発現が認められ、これに該当する正常細胞もある可能性がある、の2つの新知見を得た。
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