研究概要 |
1.本研究の目的は,子どもの生活および遊び環境の実態を明らかにするとともに,子どもの遊びを見守り,必要に応じて適切な援助をする大人(プレイリーダー)が常駐する遊び場を,都市の中にどのように組み込んでいけるのか,その可能性を探ることである。そのために福岡,神戸,京都において実査を行った。 2.福岡と神戸の小学生とその保護者を対象にした調査では,子どもたちは放課後の遊び時間は短く,遊びも室内遊びが中心で,公園などの屋外で遊ぶことは少なかった。安心な遊び場と感じているのは大人の監視の目がある児童館や学校であり,近くに公園があっても安全な場所とは感じられていなかった。 3.小学生全体からみると,児童館の利用は決して高くはなかった。しかし,家や学校ではできない楽しい遊びや友達との遊びを期待して来館する児童が多かった。利用率の低い子どもの場合,児童館の活動に魅力を感じない場合や,児童館が行きにくい場所にある場合,またその存在を知らない場合であった。たいていの児童館は屋外遊び場がないので,設置してほしいという要望が強かった。 4.プレイリーダーの常駐するプレイスクールについて調査を行った。会費制で週に1〜2回開設されているだけであるが,その遊び場の魅力のために遠方から親に送迎してもらってきている子どももいた。プレイリーダーの支援のもとで,ふだんできない遊びに魅力を感じ,自分らしさ発揮できる場所と感じている子どもも多かった。 5.今後,都市においては,子どもたちが行きたい時に自由に行くことができ,屋外遊び場が併設もしくは隣接されており,遊びを支援してくれるプレイリーダーが常駐する遊び場を整備し,子どもたちが選択可能な遊び環境を充実させていく必要がある。
|