研究概要 |
本研究では水泳中の発汗量(体重減少量),水分摂取量についての研究成果及び「水泳中の水温,運動強度が発汗量,体温調節反応に及ぼす影響」(平成7年度科学研究費補助金 一般研究(C) 課題番号:07680125)に引き続き,「水泳中の水分摂取が体液,浸透圧および血中ホルモン応答に及ぼす影響」の研究課題で水泳中の水分摂取による「高いパフォーマンスの維持」について体温,体液,浸透圧,血中ホルモン応答の観点と水泳鍛錬者の体温調節機能の特徴からそのメカニズムを明らかにすることを研究目的とした. 平成9年度は泳前後の体液,浸透圧および血中ホルモン応答の検討を行った.その結果,水泳中の自由飲水が過度の体温上昇を抑え,インターバル泳で高いパフォーマンスを維持できたものと推察され,水泳中の脱水予防と過度の体温上昇を押さえるためにも水分摂取が必要であることが示唆された. 平成10年度には温熱・運動負荷時の体温調節反応(体温,発汗反応)について陸上運動鍛錬者との比較から水泳鍛錬者の特徴を検討した.その結果,胸部の発汗潜時は両群とも被験者間にかなり大きい個人差があった.部位別では,両群とも胸部,腹部,大腿部,前腕部の順で長くなり,体幹部に比べて四肢,特に前腕の発汗開始が遅れる傾向を示した.部位別では(胸部=腹部)>(前腕=大腿部)で躯幹部の発汗量が有意に多かった.また,胸部以外の部位において陸上運動鍛錬者群が有意に多く,トレーニング環境によって体温調節機能が異なることが示唆された. 今後は,運動時,温熱負荷時において皮膚血流量,血圧,あるいは寒冷血管拡張反応(CIVD)や温熱血管収縮反応(HIVC)などのパラメータを追加し,水泳鍛錬者と陸上運動鍛錬者の体温調節機能についてより詳細な検討を行う予定である.
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