研究概要 |
本研究の目的は、重量挙選手が20日間で減量する際の適切な蛋白質摂取量を明らかにすることであった。被検者は、大学男子重量挙選手で減量プログラムは減量食と有酸素運動を組み合わせ、エネルギーバランスを-1000kcal・day^<-1>にした。減量食は、蛋白質摂取量をA群(n=3)は1.5g・kg^<-1>・day^<-1>、B群(n=5)は1.8g・kg^<-1>・day^<-1>、C群(n=4)は2.3g・kg^<-1>・day^<-1>とした。有酸素運動は1回当たり300kcalを消費する最大酸素摂取量の50%程度のトレッドミル走を週に3日、計10回行った。減量期間中の毎日の栄養調査により、エネルギー摂取量と蛋白質摂取量は、A群は1816kcalで98.8g(1.5g・kg^<-1>・day^<-1>)となり、B群は1906kcalで122.1g(1.8g・kg^<-1>・day^<-1>)となり、C群では1712kcalで150.8g(2.3g・kg^<-1>・day^<-1>)となったことが確認できた。その結果、20日間の減量プログラムにより、体重減少量はA群は2.80kg,B群は2.06kg,C群は1.81kgとなり、A群とB群は除脂肪体重(以下LBW)がそれぞれ1.25kg,0.66kg減少した。しかし、C群の体重減少量はすべて体脂肪量であった。また、減量後の尿中総窒素量から推察した窒素出納は、B群とC群がそれそれ正出納(1.00gと0.84g)となったが、しかし、A群は負出納(-1.61g)であった。一方、運動諸機能はどの群も減量前の水準を十分に維持し、血液成分はどの群も正常範囲内の変化であった。これらの結果から蛋白質摂取量が2.3g・kg^<-1>・day^<-1>の減量食と有酸素運動を組み合わせた減量プログラムはLBWを十分に維持し、筆者が同一条件で先行研究として実施した2.0g・kg^<-1>・day^<-1>を用いた減量プログラムの結果と一致した。本研究からは重量挙選手の減量食と有酸素運動を用いた減量プログラムには、2.0g・kg^<-1>・day^<-1>の蛋白質摂取量が最も適切であると結論づけられた。
|