研究概要 |
本研究ではプレイヤーの競技意欲に関する指導者とプレイヤーとの認識を分析し,両者のコミュニケーションの重要性について検討した.そして,競技中の指導者の行動とプレイヤーの行動をVTRに記録し,それをもとにコンピュータによりVTR編集,分析を実施した. 競技中の指導者とプレイヤーとのコミュニケーションを中心とした行動をVTRに記録する場合,プレイ前,プレイ中(競技種目による),プレイ後のそれぞれの行動をとらえることが大切であると思われる.特に指導者の言語も含めた記録によって,プレイヤーの行動に対応した指導者の行動を良く理解できた.画像取り込みボード,デジタルビデオカメラを使用することで,画像編集作業にかかる時間が飛躍的に短縮され,デジタル信号で編集を行なうので画質が落ちず,競技行動の内容を十分把握できるようになった. サービスを出してからゲームが展開され,一つ一つのゲームに対する指導者の対応行動が表記しやすいことから,卓球競技を研究対象とした.指導者にマイクをつけ競技中の言語と行動を記録し,これを時系列的に記録用紙に表記することにより,指導者の対応行動がとてもよく理解できたと評価を受けた.また競技中のプレイヤーの心理的な動きを表すために,セットからサービスを出すまでにかかる時間を記述し,これにゲーム得点を表記したグラフを作成した.プレイヤーに対してこのグラフを提示しながらVTRを見てもらったところ,失点時,得点時のかけひき,自己の心理状態が十分よく理解できると評価を受けた. これらのことから,本研究で試みた競技中の心理的状態をプレイヤーや指導者に伝えるため,また心理的コンディションを調整するために一つのプログラムとして提示できる資料作成手順を開発することができた.これらの資料は,チームの心理的なコンディションを改善するために有効に作用するものと考えられる.
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