研究概要 |
高校生の不定愁訴の発現を自覚症状の訴えにもとめ,日内変動としてあらわし,引き続いて,運動実施前後の自覚症状の変動を調査した。その結果, (1)疲労自覚症状の日内変動は,覚醒時と就寝前において高く,昼食前が最低値となり,U字型のパターンを示した。この場合,自覚症状の日内変動は睡眠時間により影響されることから,前日からの睡眠時間が7・8時間に該当する者について,自覚症状の訴え数の日内変動をみると,夕食前に1日の訴え数が最低となり,生活リズムは夜型タイプの傾向を示した。 (2)運動実施後に「局在した身体違和感」の症状群の増加が認められたが,「ねむけとだるさ」の症状群は逆に解消された。運動実施状況を歩数からみて,50分間の体育授業時の運動負荷強度が平均35歩/分を境界域とし,それ以下では,運動後において疲労感が低下し,それより多ければ,疲労感が増加した。 したがって,体育授業における運動には,運動前の疲労度を軽減する種目と,逆に疲労度を亢進させ,トレーニング効果が期待できる種目とがあり,運動時の身体活動量から,それは区別できるものであった。
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