研究概要 |
本研究は,新しい時代に即応した理科や算数・数学カリキュラムを開発する基礎的な資料として,子ども達の科学概念に関する理解研究データベースと算数・数学概念に関する理解研究データベースの構築を目的としている。 まず,データベース作成の基礎研究として,教師がどのような内容について授業研究をおこなっているかを調べ,教師の関心の傾向や指導上の困難な内容を明らかにした。この結果,小学校・中学校ともに天文領域や気象領域の授業研究があまり行われていないことが明らかになった。さらに,小学校では問題解決の活動をいかに子ども達に行わせるか,中学校では,理科授業にどのように生徒の興味・関心をもたせるか,についてかなりの関心があることが明らかとなった。 理科教育分野においては,子ども達の素朴概念の実態や概念変容のプロセスを中心に扱った文献を選択し,データベース化を試みた。特に,小学校では「溶解」をテーマに,中学校では「粒子概念」,「燃焼概念」,「遺伝概念」をテーマにデータベースを作製した。さらに,新学習指導要領を踏まえ,子ども達の視点を重視した環境教育データベースの開発も試みた。作製したデータベースでは,書誌情報に加え,指導案をはじめ教授に関わる資料や情報,さらには,授業場面などの映像素材もデータベース化した。 数学教育分野においては,まず,特定研究室における研究情報を蓄積し,自由にそれらを参照・加工できるデータベースシステムをLinuxを用い開発した。このシステムの開発により,ある特定の教育研究パラダイムを効果的に学習できる環境が整った。本システムの特徴は,特定の研究遂行過程で作成された中間的な資料や図表等がデータベース化されており,それらがすぐに活用できることである。さらに,インターネットの活用も検討している。インターネット活用の利点としては,特定のプラットフォームを意識しない限り,データの入力や検索がどこでも可能となる点,ファクトデー夕のPDF化により高品位なデータの遣り取りが可能となる点があげられる。しかし,著作権の問題やセキュリティーの問題など,解決すべき課題も多いことが明らかとなった。
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