研究概要 |
本研究の目的は,聴覚障害児の数学的思考力の育成を図るための指導法を開発することである.私たちは、この2年間、根本の聴覚障害児のコミュニケーション研究,江森の数学的コミュニケーション研究,森本の聴覚障害児の数学の理解・学習過程の研究で得られてきた成果をもとに,この課題に取り組んできた.これまで、数学教育の分野では,聴覚障害児を対象として数学の学習指導法を検討することに着目した研究例は内外においても,ほとんど見あたらなかった.こうした現状に対して、私たちは、聴覚障害児の数学的思考力の育成を図るための指導法の開発について,積極的に,理論的・実証的に検討をすすめてきた. 特に,数学の学習過程に伴う問題点の克服を支援する楕導法の1つとして,特にテクノロジーを活用したステップ・バイ・ステップアプローチやビジュラリゼーションアプローチの有効性について実践的に検討することができた.その結果,実践の成果を得ることができたとともに,今後,検討すべき課題を明確化することができた.本研究で得られた成果と課題を,聾学校をはじめ聴覚障害児を対象とする数学の教育研究・実践に役立てられることが期待される.
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