昨年度より継続している本研究の第一の目的は日本人学習者(高校生)が用いている英語の学習方略と国語の学習方略の下位分類を明らかにすることであり、第二の目的は英語の学習方略と国語の学習方略を比較し、共通点と相違点を明らかにすることである。 昨年度の研究では、日本人学習者の母語である国語の学習における学習方略を調査するための調査項目を作成した。 本年度は1998年3月に高校2年生131名を対象に英語の学習方略に関する28項目、国語の学習方略に関する40項目から成るアンケートを実施した。アンケートの集計結果を基に因子分析を実施し、英語の学習方略については「英語接触努力」、「授業・入試重視」、「コミュニケーション志向」の3因子を抽出し、国語の学習方略については、「長文予測読み」、「意識的取り組み」、「入試・授業重視」、「意味調べ」の4因子を抽出した。相関分析により、英語と国語の学習方略を比較したが、両者はある程度共通していた。特に共通していたのは、言語学習に対する積極的姿勢と、受験・授業重視という点であった。その一方、日本人学習者の母語である国語の学習に置いては、長文読解が重要な要素であり、そこではボトムアップ的アプローチとトップダウン的アプローチが取られているが、外国語としての英語の学習においては、もっぱらボトムアップ的アプローチが取られ、トップダウン的アプローチは行われていないことが明らかになった。
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