研究概要 |
学校における主要な今日的課題の一つとして,登校拒否,いじめ,校内暴力など,教育相談に関わる問題が噴出し,学級崩壊さえ生じている.この課題に緊急に対応するため,教育相談に関わる教師支援システムをインターネットを利用した多地点テレビ会議システムで実現しようという本研究のねらいは,ほぼ達成された.本研究の実施によって,以下の知見と成果を得た. (1) インターネット接続を実現した学校は,年々増加し全国公立学校約38,000校の1割程度(平成10年12月末)に至っていると推定される、しかし,映像・音声データの高速データ伝送ができる回線契約を実現している事例は,そのうちの半数に留まると推定される. (2) 多地点テレビ会議システムを有効に活用するために不可欠なリフレクターの機能・条件設定によって,コンピュータセキュリティが保証される見通しを得た.すなわち,リフレクターへの参入時に暗証番号の設定,IPアドレスの指定などで利用者を限定できる. (3) 国立大学・研究機関専用学術情報ネットワークSINETと民間のコンピュータネットワークとの接続ノードにおける伝送速度(推定20〜30Kbps)が,きわめて遅いことが平成9年末に分かった. (4) INS64契約している教師個人宅とのテレビ会議システムは,トラフィックが軽負荷であれば,ある程度実用に耐える見通しを得た.しかし,予想以上に回線速度やトラフィックの影響を受けやすい. (5) 多地点テレビ会議システム用ソフトの機能並びに使用機種が異なっても,端末間の映像・音声及びリフレクターの送受回線速度の設定を調整することによって,解決できる見通しを得た. (6) 2点間またはそれ以上のサイトで映像・音声・テキストを通してコミュニケーションを維持する機能は,ほぼ可能であることが分かった. (7) 実際に教育相談システムとして運用するには,ハードウェア以上に大学と教育センター・教師個人間での機関同士の調整,専門家の確保,時間調整,機密保持など,ソフトウェアの面で解決しなければならない課題が多い、本システムを実用化させるためのハードウエア面の課題はほぼ解決できる見通しであるが・ソフトウェア面の組織化,職務化,予算化など,強制力を伴う対策が望まれる.
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