研究概要 |
学習指導要領の改訂により,生徒が自ら学ぶ力を引きだすための物理教材の開発を目標として,理科教育現場の実態とニーズを調査分析し,これに対応した教材を作成した。 まず,インターネットを利用して学校現場の理科教育に関する情報収集を行ってきた。このために,ディレクトリサービスと連動した全文検索型サーチエンジン(http://sagasu.jr.chiba-u.ac.Jp/)を開発した。こうしたデータを元に,児童が研究的な態度で理科の学習に取り組むための条件を考察した。理科教育の内容はほぼ自然科学の構造に従って構成されていると考えられ,それぞれの内容の役割を明確に把握し,それらが担う固有の目的を果たすために適切な教材を選ぶことが不可欠であることを示した。一方,理科の授業設計において考慮されるべき諸要素の検討した。そして,子どもの持つ既有の考え方から,個々の知識を結びつけるイメージの場を学習過程に位置づける必要性を指摘した。 以上の考察をうけて具体的な教材開発をすすめた。萩原は,簡便な直線型クインケ管を用いた物理教材を開発し,音波の干渉や共鳴現象に関する演示実験を可能にした。また,加藤は小学校の理科教材の研究と改良のテーマとして,電流に関する単元における「電気パン」の実験を取り上げ,,小学校の授業で取り組むための安全で操作しやすい装置を工夫した。この他に,大学の物理学演習の授業の中に理科工作を取り入れることによって学生の関心と意欲を引きだすことに成功している。島田は,物理実験教材開発のテーマとして,物理現象のコンピュータ計測とそのコンピュータシミュレーションに取り組んでいる。とくに振動現象に関しては,非常に多岐にわたるケースを網羅的に検討している。例えば,非線形復元力を持つ強制振動,パラメトリック励振,曲線の縮閉線に接する振り子の振動,など様々な場合に対して詳細なデータ計測を行い,系統的にこれらの現象を検討した。
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