研究概要 |
本研究は,第二言語としての日本語学習のための知的支援システムとして,文法教育とコミュニケーションの能力の教育の融合を目指したものである, システムは,表現の使い分け方としての学習項目のインデックスをつけた例文集を用意し,的確な例文中の目標とする学習項目を含む部分について,読解支援で文脈を解らせた上で,穴埋め作文を行わせ,システムがそれを診断し,その結果再現性があり,表現として表層で近いものがある誤りについては,正しくないあるいは正しい学習項目に該当し,適切な水準の語彙を含む例文をシステムが検索して提示して誤りに気づ付かせ,修正を促す.このような学習支援システムの実現のために,まずLexcalied Tree Adjoining Grammar (LTAG)とスタックを利用し,実質上前面的にユニフィケーションと線形なバックトラックだけで進行する診断処理系を開発し,語彙リストと意味的かかり関系を,学習者と共有するという前提のもとに,余分なかかり,かかりの不足,接読辞の誤りや欠如,活用の誤り,かかりの障害,交叉かかり,状況依存の不適切さ等を検出することが可能となった.また,学習項目のインデックス付けを支援するために,文例の表層的特徴から学習項目ヘマッピングを行うルール群を試作し,形態素解析の結果を利用した形態素のパターンだけだ再現率90%適合率84%程を得,構文解析結果の一階層のかかりだけを利用して再現率96%適合率80%を得た.適合率の低下は,形態素解析の複数候補の利用,2階層のかかりの考慮,部分マッチングの禁止の導入等によって防げよう.また,共起情報を利用してあるていどの意味的曖昧さの除去ができれば,概念辞書の利用によって,大幅な適合率の改善が見込まれることを確かめた.
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