研究概要 |
ライトバック型キャッシュを用いたNCC-NUMAの潜在的な能力を検証するため,一貫性制御に関してごく簡単なハードウェア支援のみをおこなうSelf-Cleanup Cacheを備えたNCC-NUMAアーキテクチャを仮定し,それか従来のCC-NUMAに対してどれだけの性能を発揮できるかを,並列アプリケーション・プログラムを用いたシミュレーションにより評価した. その結果,ソフトウェアによる簡単な最適化を行うことで,NCC-NUMAがCC-NUMAに比肩する性能を出せること,計算機間の通信遅延が100クロックのオーダになると,CC-NUMAにくらべNCC-NUMAの優位性が明確になることが判った.さらに,アプリケーション・ブログラムの十分な静的解析ができた場合,CC-NUMAに対するNCC-NUMAの相対性能はネットワークのレイテンシ比例して大きくなることを確認した. しかしながら,プライバティゼーションやブロッキングなどの手法でメモリアクセスの局所性を向上させたプログラムに対して,ローカルメモリ上にある共有データに対する自己無効化ならびにSelf-Cleanupが性能低下を招く恐れがあることが判明した. この問題に対する検討を行った結果,ローカルなプロセッサによるキャッシュ状況のみを管理する2ビットディレクトリを主記憶に設け,同一ノードからのキャッシングに対しては,自己無効化ならびにSelf-Cleanupを行わず,多ノードからのアクセスに対してはローカルノード内での一貫性制御を行うことで問題を回避できることがわかった.また,このSelf-Cleanup Cache with 2bit Directory方式は,SMP型並列計算機を基本ノードとした複数ノード構成をとるSMPクラスタベースの並列計算機と親和性がよいこともわかり,これを応用した階層メモリシステムの提案を行った.
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