研究概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis)は全身の筋肉が次々に萎縮していく進行性の難病である.本研究では,事象関連脳電位(ERP)を用いて,そのようなALS患者とコミュニケーションを行なうために,以下の事を行なった.これによって,約80%の精度で,何ら肉体的動作がなくても被験者の意図している項目を判別できることがわかった. 1. 事象関連脳電位(ERP)検出アルゴリズムの開発 正中中心部(Cz)・正中頭頂部(Pz)を2ms間隔でサンプリングし,以下の手順でERPを検出する.(1)中心周波数4H_zのバンドパスフィルタ処理,(2)約10回のアベレージング処理,(3)全平均波形の減算,(4)台形時間窓による波形の切り出し,(5)波形のピークの高さと面積値を用いたスコア方式による判定. 2. 項目の提示方法の検討 25の単語を5×5のマトリクスに配置し,行と列をランダムに提示する.被験者は伝えたい単語(目標刺激)に意識を集中するために,その単語の出現回数をカウントしていく.一度に提示できる被選択項目は25であるが,それぞれの項目にそれに関連する項目群を階層的に繋げることで,必要なだけの項目を増やすことが可能である.この提示方法により,短い計測時間で数多くの質問項目を提示でき,P300も有効に検出できることがわかった.また,表示時間は300ms,提示周期は500msがよいことが実験で確かめられた. 3. 臨床用脳波測定・解析装置の設計と製作 4. 臨床用脳波測定・解析装置のソフトウェア製作
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