研究概要 |
本研究の目的は,セル状神経回路網(Artificial Cellular Neural Networks;以下ACNNと略記)と称する,神経細胞に相当するユニットがその近傍だけに接続されている型の神経回路網を,遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm;GA)に代表される進化的計算法によって,目的に応じた構造とユニット間結合荷重をもつように最適化する方法論を確立するとともに,ACNNの各種情報処理への応用を検討することである.研究成果を次に示す. (1) 2次元ACNNの進化的最適化の方法論の確立とその応用 ニューラルユニット間の結合を自分自身を含む9近傍に限定した神経回路網である2次元ACNNを考え,そのユニット間結合荷重を遺伝的アルゴリズムによって最適化する方法を確立した.また,例題として,ある環境の中に置かれた自律ロボットあるいは仮想生物を2次元ACNNによって制御することによって,環境の同定と行動の最適化を行なう問題を扱った. (2) 3次元ACNNの進化的最適化の方法論の確立: 2次元ACNNの進化的最適化法を拡張し,3次元ACNNに対する進化的最適化法を確立し,その情報処理能力について,理論的考察も含めて詳細に検討を行った. (3) 3次元ACNNの迷路探索問題への適用: 3次元ACNNによる時系列処理の例題として,迷路内のエージェントがゴールまでたどり着く際の環境入力に対する進行方向決定問題を取り上げ,新しく導入した不揮発性ユニットの考えを取り入れたACNNによって,効率良く問題の最適解を得ることができることを示した. これまでに本研究の成果を順次公表しており,いずれも世界的に高い評価を受けている.
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